うつでなまぽ

うつ病で生活保護受給者中の生きものがいろいろ書きます。

うつ「鬼門にすこし近づいてみた」

 きのう、日帰りで、実家のある県に行ってきた。高速バスで。隣県なのでちかいのだ。元気だったころは原付で下道を100kmくらい走っていた……やすく済むからね。でも、いまはそんな体力はないので、バスに乗っていきました。あのころの元気がもどる日は来るんだろうか……。

 

 目的は、妹に会うこと。というか妹に借りてたいろいろなものを返すことと、実家に置きっぱなしだった卒業証書を回収してもらったので受け取ること。ごくたまーに卒業証明を要求する会社あるので、まあ、いちおう。自分の得た「四大卒」という資格証でもあるし。

 あともうひとつの目的として、妹に感謝と謝罪を伝えたかったというのがあった。

 

 水は低きに流れる。暴力もそうだ。父親が母親を殴る。母親が子どもを殴る。子どもがさらに下の子を殴る。こういうふうに暴力は連鎖する。父親もだれかに殴られていたのかもしれないが、知らない。父はかなりのファザコンなので、それが家庭内の暴力だったかは微妙な気もする。高校時代の話をまったくしないので、勝手にいじめられてたんだろうかと思いはしている。

 話がそれたが、そういう暴力の連鎖にしたがって、妹に暴力をふるっていた。妹とは四つ年が離れている。子どものころとなれば力の差は歴然だ。頻繁に殴ったり叩いたりしていたと思う。記憶があいまいだけれども。少なくとも、妹に恐怖され、嫌悪される程度には暴力があった。父に殴られない妹が、母に甘やかされる妹が憎かった。まあ姉のほうもそうではあるのだが、こちらは二歳上。歯が立たなかったのだろう。覚えてないけども。

 妹は十九で子どもを妊娠し、結婚することになったのだが、このときなぜか「眞邇摩は怒るだろう」と心配していたらしい。姉も両親も了解したあとで。いや、そんな倫理的なことを注意したりということはしなかったし、ただ横暴なだけだったんだけれども。というか怒ったからなんだ。未成年で婚前交渉とは怪しからん! 中絶しろ! 結婚反対! と暴れるとでも思ったのだろうか。そうだとしたら、妹はひどいこころの傷を負っていたことになる。でも、そのときはそのことに気づかず、「あのバカなに言ってるんだ」と思ったくらいだった。

 

 感謝のほう。こっちはまえにも書いたと思うので適当に書くが、両親に虐待をしていたといって、こちらの身を案じてくれたこと。結局よい結果にはならなかったのだがそれは妹の責任ではない。

 そして、妹が上記のような暴力を受けて、不信を抱きつつも、生まれた子どもの世話をさせてくれたこと。ふれることを許してくれたこと。立場を逆にしたらと考える。絶対できない。さわらせたくない。いやだ。そう思うのがふつうだと思う。拒否されてもおかしくなかった。というかそれがふつうだったのに、受け入れてくれたこと。いまは甥もうまれたが、どちらもかわいがらせてくれること。うぇー、女神か。うちの妹は。感謝しかない。姪っ子と甥っ子をかわいがることは、かなり精神安定に寄与してくれている。体力的には疲れはするんだが……とくに、姪っ子が赤ん坊のころは、赤ん坊のために離乳食を作ったり、歯固めクッキーを焼いてやったりするのがとても癒しだった。その後就職して、姪っ子や甥っ子と関わることも少なくなるのだが、就業地からやっぱり原付で雨のなかレインコートを着て100kmを駆け抜けた。ふたりに会うために。そのころは元気だったので、めちゃくちゃかわいがり、抱っこして、いろんなところに連れて行った。いや、話それてる。

 とにかく、妹に感謝すべき点はこれだけある。ほかにも、こちらと実家を繋げないようにはからってくれていることやさまざまな配慮もそうだ。

 

 というわけで、「妹への謝罪と感謝、許せないならべつに許せなくていいということ」を、身勝手ではあるが、伝えようと思い……これは過去に両親が自分へしてきたことなのではないかと悩み、結局自分の荷を軽くしたいだけなのではないか、自己満足ではないか、とも思い、結局は、「いま、妹とよい関係が築けている。それは妹のおかげである。よって感謝と謝罪はやはり伝えるべきであろう、はっきりと伝えたほうがいいこともあるはずだ」という結論に達した。

 

 その思いを胸に、「もしかしたら地元に行くだけで不安定になるかもしれない……」という不安を抱きながらも、高速バスに乗り込んだ。やけにひとが多かった。ゴールデンウィークだからな。でも始発に乗ったから席はえらび放題だったぜ。

 で、ついたぜ地元。だいぶ変わってやがるぜ。おなじところもあるが、実家周辺は通らないし昼間なので、こころ穏やか。11時すぎくらいには妹の家そばに到着。約束は昼ごろないし昼過ぎと言ってたので早すぎたかなと思いつつメールすると「一時過ぎまでおらん」という返事。まあいいや。妹の家は繁華街に近いので、そのへんをうろうろする。時間どんどんつぶれる。アフタヌーン蟲師のひとが新連載を始めているのを見て興奮する! 好き! だるくなって途中座って休憩したり、朝飯代わりのウィダーインゼリーマルチビタミンを飲んだり。ガチャガチャがいっぱいあったゲーセンがなくなっていることに多大なショックを受けたり。なんとなしにメガネ店をのぞき、クマのプーさんの漫画がプリントしてあるめがね入れを見ていると、なにかしら仕事をさがしている新入社員みたいな必死そうな店員さんがポケモントレーナーのようにすばやく寄り添ってきて、「中身を見ていかれませんか」と声をかけてくる。いや、いいですと答えたのだが、聞こえなかったのか、プラスチックケースを開けて中まで見せてくれる。黒い。どうでもいい。めがね入れ、ほしいと思ってない。すまない。ついでにめがね洗浄をしますよ……と言ってめがねを奪っていく。なにも見えない。めがね屋はどうしてあんなにめがね野郎めがね女がはびこっておいて、めがねを洗浄しているあいだ商品がほぼ見えない問題、あるいは度の入っていないめがねをかけた状態で鏡を見せられてもなんもわからん問題の解決に着手しようとしないのか? みえねーんだよ! みえねーからめがねかけてんだ! こちとら伊達じゃねーんだよ! そしてきれいにしてネジもしめてもらっためがねを受け取り、その若い店員さんの眼を盗むようにして店を出た……軽い気持ちで、めがね屋に入るべきではない。

 そしてそのときメールが。「にじまでにはかえる!」ジーザス。まあいいや。ていうかそんなに時間かかるならひとりカラオケでも行けばよかった。行ったことないけど。ひとりカラオケ。こんど行こうかな。ふたたびぶらぶら歩く。そしたらなんか物産展みたいなものをやっていて、木のスプーンが眼に入る。さわっていいよ! ということなので遠慮なくさわる。一本200円、安い。テーブルの廃材とかを使用しているのでこのお値段ということだった。へー。とりあえず、気に入ったスプーン二本とフォーク一本をご購入。木製スプーン好きなんだよな。昔、やっすい金属スプーンでカレー食ってて、口の端がスパーンて切れたあの日から、箸や、スプーンや、フォークはそれなりのものやないとアカン気がしている。金属のやつだとスマイルマークになってるやつが好きだな。ちいさいやつを姪っ子の離乳食用に使っていたんだ。それを思い出す。だから好きなんだ。

 

 そして二時ごろ、妹にメールすると家にいるとのこと。ピンポン鳴らす。家に上がり込む。

 スゲー汚部屋!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 いや、テレビで出るような、なんか踏まんと歩けんというレベルではないが、どこにでも、どっかしらにでも、なんでもある。ゴミ袋めっちゃ置いてあるのに、活用されてない。いやゴミいっぱい入ってはいるんだけど、床に放置されたゴミ、めっちゃある。ゴミ、ゴミ、ゴミ。ゴミ屋敷やんけ! 床もざらざらする! 人間だけの責任やないけど! こないだあった災害の結果って部分もあるんやけど! それでもおまえ……すごいから!

 とりあえず卒業証書と持ってきた荷物を交換し、家にいた甥っ子を「わあ、姪っ子ちゃん髪切ったなあ」などと勘違いしつつ、部屋の掃除を始める。妹の部屋の掃除は過去何べんもやったことがあり、そのたびまた腐海にしずむという性質がある。しかし、やらずにはいられない、そういう雰囲気がある。妹は「みんなうちに来ると掃除しだす(笑)」などと言ってくつろいでいる。じゃあかしい。だれが来たらこの部屋でくつろげんのや。おまえだけやそんなん。

 そして掃除が始まる。ごみを捨て、重要そうな書類をまとめ、振込用紙をまとめ、妹んちの電気代一万にうちの十倍やんと戦慄し、ごみを捨て、ごみを捨て、ごみを捨てる。甥はごみを捨てるという発想がないらしく、放置するか、こっちに渡してくるので、ごみ袋に捨てなさいと指導。

 食卓の上とか……なんかすごい。食卓か? めちゃめちゃ小銭が散らばっている。というか家じゅうに小銭が散らばっているのだ。仕方ないので拾い、拾い、インテリア用? の小さい金属バケツにためていく。五円とか十円とか百円とか五百円とか落ちてる。一円もある。もう途中でめんどくさくなりポケットに突っ込んでまとめて入れるようにする。しかし台拭きがない。コーヒーだかなんだかよくわからんシミの付いたテーブルを拭き上げられない。仕方ないのでそのへんにある使い捨てお手拭きを使用してみるが、効果がない。というか足りない。もうあきらめ、確実にゴミというものだけ捨てて、つぎは皿洗いにうつった。

 ひたすら洗う。なんか台所用洗剤が足りない予感がする。予備とか絶対にない。詰め替え用なんてもっと置いてるはずがない。でも食器はベッタベタしている。地獄かここは? ひたすら洗いつづける。そのうちに姪が帰ってくる。なぜかいる眞邇摩に硬直。しばらく呆然としている。とりあえず、「ギュッとする?」と言ったらギュッとしてきた。かわいいやつめ。

 そしてまたひたすら洗う。いっしょに遊びたいとしきりに姪甥ともに言ってくるのだが、それどころではない。きみらの居住環境の正常化をはかっているんだ。少しでもと思って。さっき書くの忘れたけど台所はいちばんヤバかった。まさにゴミ。ゴミばかりの床。なんかベッタベタする。飯と油の二重奏。家歩いてて靴下汚れるってある? とにかく洗いつづける。妹んちはシンクがめっちゃ広い。うちと比べると二倍から三倍ある。そのなかにある大量の食器を洗う。もう水切り籠がいっぱいになってしまう。しかしそばになんか……シンクに渡してうまいことできるなんかがあったので、まだ洗いつづける。姪は自転車を見せてやるという。あとでね。というかもう乗れるのか。ヤバいな。小学五年生まで自転車に乗れなかったぞ。妹は一日でスイスイ乗りこなしていたが。甥はダンゴムシを取りに行こうという。ダンゴムシな。昔は好きだった虫ナンバーワンやな。いやテントウムシのほうがいいか。ここきれいにしないと夏になったらアレ(実際には名前を言ったが、文字にするのもおぞましいのでここでは伏せる)が出るよ、甥くんはあの虫は好き? と訊くと嫌いらしい。男の子にも嫌われる虫、アレ。姪はアレが出たら死ぬと言っていた。妹も嫌いだ。義弟は……どうだろう。知らない。興味がない。あまり仲良くない。在宅で仕事をしてたりするので、いっぺんトイレかなんかに出てきて「部屋きたないでしょ(笑)」とか言っていたけれども、わかっとるならおまえも掃除せれと言いたい。いや仕事があるんだろうけれどもな。年上の義弟はどうあつかっていいかわかったものじゃない。

 

 そしてもう日が暮れてきたころ、やっともうひとつの目的を思い出す。姪甥もそばにいるのでまあまあぼかしつつ、感謝と謝罪をつたえたわけだが、妹は「あー、忘れた」と言っていた。マジかよ。いやウソだろ。ごまかしてんだろ? いやマジなのか? 妹は性格がだいぶ父に似ている。父は頭はいいがよく物事を忘れる。それが遺伝したのか? よくわからん。ほんとうに忘れているなら、それほどに過去を軽く考えることは可能なんだろうか? と思うし、気をつかって、あるいは照れて忘れたと言ったならまあ……言った甲斐はあったんだろうか。よくわからん。結局自分の気を済ませるだけだったのかもしれん。まあそれでもひとつ、達成感はあった。シンクの洗い物もだいたいやっつけたしな!

 

 姪は土日、ばあ(姪は祖母である母をこう呼ぶ)の家、つまり実家に泊まりに行くということだった。無感情をこころがける。姪がだれを好きになろうと自由だ。でも姪が「じいは嫌い」と言ったとき、ものすっごい胸がすくような思いを味わった。やっぱりわかるんだな。ひとを見る目があるぜ。「ばあは好き」ということだったが、あっちはひとを甘やかして甘やかしてダメにするのが得意なやつだから、心配ではある。妹がその典型例だ。いや、もうひとの心配はすまい。自分の問題を解決することに集中しよう。

 その後、姪は出かけていき、甥に二冊絵本を読んでやり、バスの時間を微妙に覚えていなかったので焦ってさようならをして帰った。あ、あと解約したiPhone6をもらった。どうにかしてつかえないか試してみるつもりだが、これは収入……? に入るのか、ちょっと聞いてみないとなと思う。結果はお知らせするであろう。

 

 そしてバスに乗り……ゆったりとくつろぐ……悪くなかったな、久しぶりに妹と、姪甥と会って……遊べなかったけど掃除はして皿洗いもして……フフフ……と思っていたら、ジーンズのポケットになんか変な感触がする。いやな予感しかしない。六百円だった。五百円玉と百円玉を掃除しているときに「あとからバケツに入れよ」と思ってそのまま皿洗いにうつり、忘れたのだ。アホか! アホか!

 急いで妹にメールする。そしたら「時給百五十円くらいやな」ということでもらっておけということだった。いや返す! と言ってもいつになるかわからないしもうもらっておくことにした。妹に六百円めぐんでもらう。とほほ。というかこれは収入に……入るだろうな……なんか、恥ずかしいけどな……、やっぱり返そうかな。たかが六百円で、保護課が書類を少なくとも二枚こちらに送らなければならなくなる(保護費からこうこうこういう理由で六百円引いたよという書類と、戻したよという書類)し、たぶん職員さんが書く書類も増えるのだろうし、六百円って差し引くって、六百円以上の労力がかかりそうだ。まあ、なんか、もう、相談してしまおう。相談員さんに! 結果は追ってお知らせします。