うつでなまぽ

うつでなまぽな生活です。

こもごも「読書について」

 以前は読書が好きだった。純文学、ミステリ、SF、ファンタジー、ノンフィクションからラノベまでいろいろ読んだ。

 でも、気分の落ち込みが出はじめてから、だんだんと読書量は落ちていった。本に集中できない。文章が理解できない。登場人物の言うことの、意味がまったくわからない。文字の上で目がするする滑って、さきの文章で当然のようにあらわれたなぞの人物の素性をたしかめるために、何ページもさかのぼらなければならない。そんな読書はおもしろくないし、そうやって苦労して読みきっても、出てくる感想は、「へえ、そう」くらいのものだった。

 

 本を読めなくなるということは、ひとつの逃げ場を失ったことを意味する。たとえばいやなことがあったとして、妙な考えに取りつかれたとして、かるく本を何ページか読めば、気分を切りかえることができた。それができなくなるということだ。

 また、ちょっとした待ち時間の時間つぶしのあいだ、本がもたらす別世界ではなく、自分の頭のなかのどろどろにひたってすごさなければならないということだ。

 これにはだいぶ疲れさせられた。

 

 最近もその傾向は変わらないのだけれども、それでも読める本というのが存在することに気づいた。

 子ども向けのやさしい童話だ。

 とくにおおきな起伏もなく、のんびりと牧歌的で、最後にはおさまるべきところにそっとおさまるという、おだやかな話。登場人物はすくなく、だれもむずかしいことは言わない。ちょっと目が滑って読み飛ばしても、「まあいいか」ですませられるような、おとなにとってはさほど意味もない話。こういうのならなんとか読めるな、と気づいた。以前読んだことがあれば、もっといい。内容を思い出しながら、文章を追っていくのは、気持ちが楽だ。

 

 というわけで、いまは、「クマのプーさん」と「ムーミン・シリーズ」を読んでいる。ディズニーの目が覚めるような黄色をしたクマより、どこかとぼけた顔をして、くたびれてふわふわのオールド・プーのほうが好きだな、と思う。

 あと、ムーミン・シリーズでいちばん好きなところは、「ムーミン谷の彗星」で、スノークのおじょうさんが、鏡をつかって大だこからムーミントロールを救いだしたあと、「あんたのことを毎日でも大だこから助けてやりたいわ」と言い、それにムーミントロールが、「そんなのいやだよ、きみはよくばりすぎるよ」などというところ。

 

 まとまらない文章になったが、読める本が見つかってうれしく思った。おわり。